高柳さんのメール

①名前:高柳 亮生、所属:今、無職(退職)、元、F)電々シス

 

②イタクラさんとの関わり

  最初にイタクラさんのプロジェクトに配属されたとき、お客さん側の部長さん、課長さん、係長さんが丸坊主。

 F側もイタクラさん、Iさんが坊主だったような記憶なのだが?

プロジェクトが遅れた責任を形で示したらしい。すごいプロジェクトに入れられてしまったと言うのが第一印象。

下っ端だったので状況が良く分からなかったが、自分達が日本でトップクラス、最先端のシステムを作っているという熱気があった。

イタクラさんがリーダーでF側を引っ張っていた。

 

③イタクラさんとはどんな人?

イタクラさんと言うと技術(モデル)の面が強調されがちに思うが、イタクラさんは心底人間好き、人間に関心があるのだと思う。

人間的な要素を意識してプロジェクトをマネッジメントしていたように感じる。

 

④イタクラさんのすごいと思うところ

 他所からイタクラさんのグループに入り、その後、またグループを外れた者として、他のプロジェクトリーダーとの違いをいくつか列記する。

1)部下の特徴をうまく生かす

  通常のグループリーダーは皆を同じ性向にまとめたがる。結果として「違う」者は除外されがちだ。

  イタクラさんのプロジェクトは特徴ある者が集まっていたような気がする。

  イタクラさんにとって皆の使える部分(能力)を見つけてうまくプロジェクトにあてはめてくれた。

  ポンチ絵が得意な人、オンライン担当でなければプロジェクトに参加しないと言った業務精通者、端末マクロを造り上げた人、業務のチェック更新処理を全てマクロ化した人、など。

  私は前のプロジェクトで少し数値解析を齧った関係でデータの数式処理に関わることで使ってもらえたと思っている。

2)ノウハウをうまく形式知化する

「イタクラさん=モデル」と言われるが、もう少し広くとらえたい。

イタクラさんは現場へのインタビューで問題やデータを整理する、持っているノウハウをそれに合わせて形式知化(モデル化もそのひとつ)して自分の判断材料にする、周囲を客観的に納得させる、さらに残す・伝える、を心がけているのだと思う。

イタクラさんのプロマネノウハウの論文発表や書籍執筆が正にその具体例だが、前項でのいろんなマクロ化もノウハウ者の知識を目に見える形で提供するという意味で立派な形式知だと思う(後年、イタクラさんは業務仕様をイベントマトリックス?にして、それからプログラムを生成するツールを考案された)。

当時は野中先生の暗黙知・形式知なんて我々は知らなかったけれど、自分のノウハウを出来るだけ形式化表出化しようとすることはイタクラさんに学んだつもりだ。

3) 阿(オモネ)らない

イタクラさんは人に阿(オモネ)らない。

2)項のようにして得た説得材料で率直な言い方をするので、好感をもつお客さんが多かったのではないだろうか。

その部分でのイタクラさんの突破力はすごいと思う。

「阿らない」のがイタクラさんにとって良いことばかりではなかっただろうが、イタクラさんは自分がやりたいように生きてきたのだと思う。

 4)体育会系だ

プロジェクトや課でよくソフトボール大会をしたり、海水浴に行ったりしたようだ。

このような場の作りで、イタクラさん自身が一番のガキ大将になって組織の一体感を醸成していた。イタクラさんは仕事も遊びも真剣だ。

 5)居場所を見つけるのが上手

イタクラさんは、その後、会社内外のいろいろなところで仕事をされたが、どこに行っても、そこで新たな存在感を発揮された。

2)項の力が大きいのではないかと思う。

 

⑤イタクラさんから影響を受けたこと

  前項の1)は自分自身がプロジェクトや組織の体制を作るときのため、「彼(女)のこの能力はあそこに使える」と常に頭に入れるようにした。

  2)については自分が身につけたノウハウや得た知識を他人が使えるように出来るだけツール(プログラム)化するようにした。

 

⑥イタクラさんが周りに及ぼした大きな影響

  特定の技術というより、イタクラさんが醸し出すプロジェクト内の雰囲気をみんなが気が付かずに受け継いでいる気がする。

 それは、それぞれが自分ベースの能力(技術)で生きていこうとすることだったろう。

 イタクラさんほどの能力はなくても自分はこれで生きる、という信念を持っているように思える。皆さん、「技術をもった」SEマネージャーになった。

 イタクラさんの今日的意義?を考えてみた。

 今の開発は実施要領、手順書、チェックシートがあるのが当然だと皆が思っている。

 それは、開発作業が従来の延長で捉えられる場合は正しいだろう。しかし、現在は新たなモノや価値を創造しなおさなければならない時代だ。

 既存の実施要領、手順書、チェックシートが役立ない場合もある。

 イタクラさんのようにゼロべースで自分の頭で考え、それを形式知化して、プロジェクトを遂行する突破力が今こそ、必要なのだと思う。

 

⑦イタクラさんの技術(テクニック)ですごいと思うもの

 『技術』を広義の意味でとらえると④項のそれぞれがすごいが、個々のことならなら他にも人できるがいると思う。

 しかし、イタクラさんがすごいのはその全てをその場に適した形でやれることだと思う。

 中でもとりわけすごいと私が思うのは5)項だ。

 「居場所を見つける」だけでなく、場の中心となり、イタクラさんの信奉者を作り出してしまうことだろう

 (どうしてそんなことが出来るのかが「イタクラ解体新書」作成の目的なのだろうが、私には解らない)。